NIMS物質・材料データベース (MatNavi) - 高分子データベース (PoLyInfo) - PoLyInfo Help
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What's PoLyInfo [English]

■ PoLyInfo概要
高分子データベース (PoLyInfo) は高分子材料設計に必要とされる様々なデータを学術文献から収集し、体系的に整理して提供するデータベースです。
ポリマー物性、化学構造、IUPAC準拠名を含む各種名称、測定サンプルの成形方法、測定条件、原料モノマー、重合方法などを相互に関連づけて収録しています。
物性項目は、熱的物性、電気的物性、機械的物性など、約100種類を対象としています。

現在、ホモポリマー、コポリマー、これらを成分とするポリマーブレンド、コンポジット、コンパウンドを公開しています。
拡張機能として物性推算システム、NMRデータベース、自動命名システムがあります。

"PoLyInfo" は独立行政法人 物質・材料研究機構 (NIMS) 材料情報ステーションが提供するNIMS物質・材料データベース (MatNavi)の一つで、
種々の高分子材料の研究開発を支援することを目的としています。


■ データベースの構成
PoLyInfoのデータモデルを下図に示します。
図に見られるように PoLyInfoは、大別して文献データベース、サンプル物性部と辞書部から構成されています。

高分子物質 (Polymeric Materials)に関する用語と命名法 (Terminology and Nomenclature)の体系は国際純正応用化学連合 (IUPAC)のPolymer DivisionおよびChemical Nomenclature and Structure Representation Division の諸勧告 (Recommendations )に準ずることを基本としています。



■ サンプル物性部
PoLyInfoは対象とする高分子材料の種別や物性を限定しておらず、また高分子の物性や構造に加えて、試料の合成に関する情報や原料に関する情報、フィラーや添加剤に関する情報など、広範囲な情報を上図 (PoLyInfoのデータ構造)にしたがって格納しています。

サンプルは物性採取の対象となった高分子物質で、「ポリマー」と「フィラー」「添加剤」などを含み、特定の条件で製造・成形・加工されたものです。 

PoLyInfoでは文献に記載された高分子物質の物性値を、まず構成単位 (CU)レベルの化学構造の異なりでポリマーを同定し、
  分子量・一次構造などの異なり
  成形加工条件の異なり
  物性測定条件の異なり
  の階層化されたデータ構造の反映として捕えます。

この階層構造は、 検索の結果として表示される"Sample Information" (サンプル詳細表示)で
  SampleID: 00128-1-1-1
  のような形で表示されています。 (SampleID = 文献番号-サンプル番号-構造番号-成形加工番号 です。)

たとえば平均分子量や分子量分布、立体規則性などのデータ項目は「一次構造」クラスの属性として定義されており、それらの値は属性値として格納されています。
  $Sample->{$00128}->[1]->{NAME} = PS
  $Sample->{$00128}->[1]->[1]->{Mn} = 35,000
  $Sample->{$00128}->[1]->[1]->{Mw} = 40,000

また、Tg や Tm などの物性項目は「物性情報」::「Tg」クラスの属性などとして定義されており、それらの項目・値は属性・属性値として格納されています。
  $Sample->{$00128}->[1]->{Mw=>40,000}->{fiber}->{Tg}-> {value} = 324
  $Sample->{$00128}->[1]->{Mw=>40,000}->{fiber}->{Tg}-> {unit}  = K

"Sample Information" (サンプル詳細表示)の詳細はこちらをご覧ください。

辞書部は、ポリマー辞書、モノマー辞書、重合パス辞書から構成しています。

構成単位 (CU)は、ポリマーを構成する要素で、ブッロク (block)、 境界単位 (boundary unit)、分岐 (branch)、ポリマー鎖 (polymer chain)、
構成繰返し単位 (consitutional repeating unit=CRU)などの総称です。
 
重合パスは、ポリマーと反応体 (Reactant) との一般的な対応関係を示すものです。
反応体 (Reactant) は、高分子合成の原料となるモノマー (Monomer)と、プレポリマーなど他のポリマー合成の原料となる高分子反応体 (Polymer reactant)です。

また、重合情報には、個々のポリマーサンプルが実際どのように合成されたかを収録し、ポリマーサンプルと反応体 (Reactant) とを結びつけています。

■ 収録データ
  • データ源
    データ源は、高分子分野の学術文献です。収集対象としている物性が報告されている文献から、次の基準を満たしているポリマー サンプルの物性値とその関連情報 (測定条件や対応するモノマーなど)を採択しています。

    ポリマーサンプル
    材料として使われる全ポリマーを対象としています。
    生体高分子 (ヌクレオチド、タンパク質)の配列情報は扱いません。
    収集したデータのうちデータベースシステムで取り扱えない情報は公開されません。

    ポリマー物性値
    採択されるデータは文献中の記述から実測値であることが判断され、かつ 測定方法、測定条件の記載があるものです。
    実測値を元に計算により求めた値も対象 としています。 単なる引用のみの値は対象外としています。 推算値は採択の対象としていません。

    物性項目一覧
    PoLyInfoで収録対象としている物性はこちらを ご覧ください。

■ 検索機能
ポリマー検索対象 : 名称、分類、物性、構造など
モノマー検索対象 : 名称、分類、化合物レジストリ番号、分子式・分子量など

■ 他のポリマー関係データベース
PoLyInfoは高分子材料設計に必要な基礎的なデータを収録するデータベースです。商品化されている樹脂を対象としたカタログデータベースではありません。
(ただし、データ源としている高分子分野の学術文献で、商品化されている樹脂をサンプルとした測定値が報告されている場合には、そのデータを採択しています。)